目指すこと

 私たちは省電力・省エネルギー社会の実現をめざします。

 そのために、電力使用の約7割を占める産業界・自治体などの業務・産業用の電気をカエルことを目指します。

 

活動のスタンス

@現状を1mmでも変えることを目指します。

 制度や仕組みや法律が変わることを望んではいますが、そのことを活動の中心テーマとはしません。私たちの現在の持てる力を冷静に判断し、現状の制度や仕組みの中で、「今すぐ」変えられることを提案し、変えていきます。

 A「儲かる」「トクする」というキーワードを重視します。

 企業にとって新しく商品やサービスが売れて「儲かる」こと、自治体・企業にとって節約して「トクする」ことを提案します。経済的なインセンティブがある提案を行うことで、提案の実現性を高め、模倣を促し、変化を加速させます。

 B市民の調査に基づき、提案します。

 調査に当たっては市民が調査に主体的にかかわることを重視します。店舗の環境配慮調査などを市民の力で進め、成功を収めたグリーンコンシューマー運動に倣います。

Cニッチ領域を極めます。

 PPS、照明、空調など、今までの運動ではあまりに具体的過ぎて見過ごされてきましたが、新しい技術・サービスのニッチ領域を極め、具体的で、効果的な提案活動を目指します。日本一PPS、照明、空調に詳しい市民団体を目指します。

D面と点で活動します。

 自治体の調査では、都道府県単位の全自治体を対象として調査し、セミナーなどの手法でもって関心のある自治体への働きかけを行います。同時に、メンバーがいる自治体では、その自治体の議員などへ個別に提案していきます。面で行う活動と点で行う活動を組み合わせて効果をあげることを目指します。


 

取り組んできたもの、取り組んでいるもの

@PPS(特定規模電力)への期待と失望

私たちは当初、2000年から始まった電力自由化で、契約電力50kw以上の事業者であれば、電力会社以外の独立系電力から電気を購入することができることを知り、これに飛びつきました。家庭は無理でも自治体・企業の電気をカエルことができる!!と考えたからです。

電力会社からPPSへの切り替えを自治体・産業界に促し、使う電気を電力会社から切り替えることで、エネルギーシフトの実現を目指しました。

ところが、PPSに対する調査を行ったり、関係者に聞き取りをしていくうちに、PPSは供給能力を増やしていないため、どれだけ切り替えを行っても、単にPPSが供給している売り先が「より儲かる(または赤字が少ない)お客へ」PPSの中で変わるだけであることに気づきます。


資源エネルギー庁HPより作成


http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm

統計表2-8 平成21年4月〜23年9月分を集計



 さらに実態を調べていくと、PPSはバックアップ電源と称して、電力会社から電気を購入しています。あまり公にしたがらない企業が多い中、私たちが2011年11月に行った調査に協力して下った企業の2社が「調達先の20〜40%は電力会社から購入している」と回答がありました。

 もともとこのバックアップ電源は電力自由化がスタートした際に、経済産業省が電力会社に対して「体力が弱いPPSに対して電力会社が安く電気を供給しなさい」という指示を出したためにできている仕組みです。なお、その価格は公開されていませんが、日本で一番安い電気で、8円/kWh程度だといわれています。ということは、おそらくほとんどの大手PPSはこのバックアップ電源を購入していると考えるほうが適切です。PPS業界で約半分のシェアを持つ最大手の「エネット」を取材した記事でも同様の記述があります。

http://www.bcm.co.jp/site/2010/02/ennet/1002-ennet.pdf

  私たちのスタンスとして、自治体に対してPPSの切り替えをやったほうがいいと提案は続けていますが、その理由は単に経済的なメリットがあるためだけであり、また、需要を積み上げることで将来的なPPSの活性化を目指すものです。残念ながら短期的にはほとんど意味のない提案であり、切り替えであると認識しています。

 なお、過去、自治体がPPSに入札を行うと10〜15%程度は電気代が安くなりましたが、現在は電力需要の逼迫を受け、2〜3%程度、ひどい場合は0.2%程度(平成23年8月愛知県庁本庁舎など)しか安くなりません。価格的な意味もほとんどなくなってしまいました。

Aみんながトクする節電キャンペーン

 一方、新たな省エネ機器の開発も進み、効率的な機器への交換をすることで、大幅な節電と、行政経費の削減が可能になっています。

 節電への取り組みでは、奈良県大和郡山市(人口約9万人)の事例が特に参考になります。庁舎の照明(旧式の蛍光灯)を、2灯を1灯に集約できる高効率のFHF蛍光灯(LED照明ではないことがポイント)に取り替えることで、年間約500万円の経費削減と、庁舎全体で15%の節電を果たし、また、取替えにかかったコストも約600万円と、1年あまりで回収しています。

 また、新しい空調設備は15年前の設備と比較して約5割、10年前の設備と比較して約3割の節電が可能です。設備の条件にもよりますが、15年前の設備であれば更新コストは3年程度、10年前の設備であれば5年程度で回収が可能です。また、初期投資を抑えるためのリースの仕組みも多くあります。また、ガスヒートポンプ式の冷暖房設備に切り替えることで、電気式の空調設備と比較して、約9割の節電と、約3割の二酸化炭素削減が可能であり、設備条件によりますが、ランニングコスト・イニシャルコストともに電気式のものより有利となるケースが多くあります。

 私たちは、これらの設備更新を自治体・企業に提案することで、トクする節電キャンペーンを行います。このキャンペーンでは、更新する自治体・企業、ガス会社、空調設備メーカー、照明器具メーカー、電気設備事業者など、更新で利益を得ることのできるステークホルダーと協力しながら進めます。

Bそして、再生可能エネルギーを。

 環境保全のためだけではなく、地域経済を活性化するためにも、再生可能エネルギーを地産地消することは重要だと考えます。たとえば、秋田県の名産品「あきたこまち」の売り上げは年間約1000億円であり、同県の全世帯の光熱費も毎年約1000億円です。しかし、光熱費はそのほとんどが県内企業の収入とはなりません。おなじことは、ほぼすべての自治体で起きているのです。

 再生可能エネルギー導入促進の切り札は自然エネルギー法に基づく、固定価格買い取り制度です。この買取価格が事業者にとって利益の出る価格になれば、一気にビジネスとして再生可能エネルギーの導入は進むでしょう。自然エネルギー法の魂は買い取り価格にあるといっても過言ではありません。

 私たちとしては、この価格決定プロセスを注視し、適正な価格となるよう声を上げていくことが最大の役目だと考えています。その際には市民だけではなく、その事業でメリットを得るパネルメーカー、設備事業者などとも連携してキャンペーンをしていく予定です。